ナレッジ検索/RAG

RAG(ナレッジ検索/エンタープライズ検索)とは

RAG(Retrieval-Augmented Generation)とは、生成AIに外部の知識を組み合わせることで、より正確で信頼性の高い回答を実現する仕組みです。一般的な生成AIは学習済みデータの範囲でしか答えられませんが、RAGは検索エンジンのように社内ドキュメントやナレッジベースから情報を取り出し、それを基に回答を生成します。
別名として「エンタープライズ検索」「ドキュメントQA」とも呼ばれ、社内の大量な資料を横断的に活用できる点が注目されています。

RAGを活用するメリット

RAGを導入すると、次のような効果が期待できます。

  • 内部ナレッジの有効活用:FAQやマニュアルなどの蓄積された資料を活かし、社員や顧客に迅速に回答できる。

  • 透明性の確保:検索元の根拠文書を提示できるため、回答の信頼性が高まる。

  • 業務効率の向上:問い合わせ対応や社内検索にかかる時間を削減し、コスト削減にもつながる。

特にBtoB企業では、営業資料や技術ドキュメントが膨大に存在するため、これを活用できる点は大きなメリットとなります。

RAGの効果を測るKPI

RAG導入の効果を正しく評価するためには、明確なKPIを設定する必要があります。代表的な指標を以下にまとめます。

KPI名 意味 活用例
Hit@k 上位k件に正解が含まれる割合 検索精度の基本指標
nDCG 順位を考慮した検索結果の妥当性 利用者の満足度を測定
根拠提示率 回答に引用・参照が含まれる割合 透明性・説明責任の評価
更新遅延 新情報が反映されるまでの時間 運用体制や同期方法の改善

これらを定期的にチェックすることで、単に「検索が当たるかどうか」だけでなく、ユーザーにとって有益かつ最新の情報が得られるかを確認できます。

RAG導入のポイントと注意点

RAGを導入する際は、次のポイントを意識することが重要です。

  1. 権限フィルタ:社員ごとに閲覧できる情報を制御し、セキュリティを担保する。

  2. 差分同期:日々更新されるドキュメントを効率的に取り込み、常に最新の情報を扱えるようにする。

  3. 専門人材の確保:RAGエンジニア、検索エンジニア、MLOps担当など、運用を支える役割が必要。

このほか、既存システムとの連携や、PoC(概念実証)を通じた小規模導入から始めることも成功のポイントです。

まとめ

RAGは、単なる検索機能の拡張ではなく、企業のナレッジを最大限に活かす基盤としての役割を果たします。透明性の高い回答や効率的な情報活用を実現できるため、顧客対応の質向上や社内業務の効率化につながります。今後、エンタープライズにおける生成AI活用の中心技術となることは間違いありません。

導入を検討する企業は、まず小規模なケーススタディから始め、KPIを設定して効果を測りながら段階的に活用範囲を広げるのがおすすめです。