RPA+AI

RPA+AIとは?

バックオフィス業務の効率化を目指す企業にとって、注目を集めているのがRPA+AIの組み合わせです。RPA(Robotic Process Automation)は定型的な作業の自動化に強みを持ち、AI(人工知能)はデータ分析や判断を伴う業務に活用できます。この2つを組み合わせることで、従来は人手が必要だった幅広い業務を自動化し、生産性を大きく向上させることが可能になります。

RPAの基本

RPAとは、人がパソコン上で行っている定型作業をソフトウェアロボットに代行させる仕組みです。たとえば、Excelへのデータ転記、システムへの入力、定型フォーマットでのメール送信といったルーチン業務を自動化できます。人が行うと時間や労力がかかる単純作業を効率化できるため、特にバックオフィス業務の省力化に有効です。

AIとの違いと組み合わせの意義

一方のAIは、大量のデータを学習し、パターンを認識したり判断を行ったりする技術です。画像認識や自然言語処理などを通じて、人間が曖昧な情報を解釈していた部分を補えるのが強みです。RPAが「決められたルールを繰り返す」ことに特化しているのに対し、AIは「ルール化できない判断」を担えるのが大きな違いです。

両者を組み合わせることで、RPA単体では対応が難しかった非定型業務まで自動化の対象にできます。たとえば、請求書の文字をOCRでAIが読み取り、そのデータをRPAが会計システムに入力する、といった流れが典型的な活用例です。こうした仕組みによって、バックオフィス業務全体をより高度に効率化できるのが「RPA+AI」の大きな意義といえます。

RPA+AI導入のメリット

企業がバックオフィス業務を効率化するうえで、RPA+AIの導入は大きな効果をもたらします。単純作業の自動化だけでなく、判断を伴う業務にも対応できるため、コスト削減から従業員の働き方改善まで幅広いメリットを享受できます。ここでは代表的な効果を整理します。

業務効率化とコスト削減

RPAは定型作業を高速かつ正確に処理し、AIは判断や学習を伴う業務を担当することで、業務全体の処理スピードが大幅に向上します。これにより、1件あたりの処理時間を短縮でき、結果として人件費や外注費などのコスト削減につながります。特に、大量のデータ入力や帳票処理を抱える企業では、年間で数百万円規模の削減効果が期待されます。

精度向上と属人化解消

手作業では避けられないヒューマンエラーも、RPAとAIを組み合わせることで大幅に減少します。入力やチェック業務の精度が上がるだけでなく、業務が特定の担当者に依存する「属人化」も解消され、組織全体で安定した運営が可能になります。

働き方改革への寄与

単純作業から解放された社員は、戦略立案や顧客対応といった付加価値の高い業務に注力できます。これにより従業員満足度の向上や離職率の低下が期待でき、働き方改革の推進にも寄与します。バックオフィス自動化は、単なるコスト削減にとどまらず、企業競争力を高める施策といえます。

成果を測るKPIの例

RPAとAIを導入した効果を正しく評価するためには、定量的な指標を設定することが欠かせません。特にバックオフィス業務では、処理速度やコスト削減、エラー数の改善などが成果として表れやすく、RPA+AIの導入効果を数値で可視化することで、投資対効果を明確に把握できます。

代表的なKPI項目

導入効果を測る際には、以下のような指標がよく用いられます。

  • 処理時間の短縮率:従来よりどの程度スピードが上がったか

  • 人件費削減額:自動化によるコスト削減の金額

  • エラー発生件数の減少:人的ミスがどれだけ減ったか

  • 業務処理件数の増加:同じ時間でどれだけ多くの業務が処理できたか

KPIの具体例(表形式)

KPI指標 導入前 導入後 効果例
処理時間(1件あたり) 5分 1分 80%短縮
年間人件費 1,000万円 800万円 200万円削減
入力エラー件数 月100件 月10件 90%減少
処理件数(1人あたり/日) 100件 1,000件 10倍に増加

このようにKPIを設定することで、導入の成果を定量的に把握でき、経営層への報告や今後の改善にも役立ちます。

導入を検討する際のポイント

バックオフィス業務にRPA+AIを導入する際には、やみくもにシステムを導入するのではなく、あらかじめ目的やプロセスを整理することが重要です。成功事例の多くは、小さく始めて改善を繰り返しながら、全社的な活用へと広げています。ここでは導入時に押さえておきたい3つのポイントを紹介します。

業務プロセスの整理

まずは自動化の対象となる業務を洗い出し、定型業務と非定型業務に分類しましょう。単純な転記やデータ入力といったRPA向きの作業と、AIを活用すべき判断が必要な作業を切り分けることで、効果的な導入計画を立てられます。

小規模導入からのスタート

いきなり全社的に展開すると失敗リスクも高まります。そのため、まずは一部部署や特定業務からPoC(概念実証)として導入し、効果を検証するのが現実的です。成果が確認できれば、他部署や関連業務へ段階的に拡大できます。

セキュリティとガバナンスの確保

バックオフィスでは顧客データや会計情報など、重要な情報を扱うケースが多くあります。アクセス権限の管理、操作ログの記録、システム障害時の対応策などをあらかじめ整備することで、安心して運用を続けることができます。

RPA+AIの企業一覧